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動かしたら動かしただけ、毒が回る。
悪くすれば命だって奪うことを頭から跳ね除けながら、ジェイはただ待つしか出来なかった。





そういえば自分も訓練を受けていたとき、山で毒を持った草に手の甲を傷つけられた。
痛くて痛くて泣きそうだったけれど、あの人はそれを許さない。
幸いジェイは毒を吸い出して、それはただのかさぶたとなった。





「毒を吸う…」

ジェイは毒の処置方法を思い出した。
負ってから間がなければ、毒は傷口から吸いだせる。
小さいころの自分はそうして助かった。
今ワルターは自分で毒を吸い出すということは出来ないだろう。
間違えば自分が危険、そんなことモフモフ族のみんなにはさせられない。
ジェイはワルターを自分に寄りかからせながら肩の布を切り裂き始めた。
時間がたっているかもしれない、無意味なことかもしれないが、ジェイには止める気はなかった。
彼の取った行動に、興味があった。

「うっ…」

「動かないでくださいね、ワルターさん」

寄りかかった体勢のまま、ジェイは肩の傷を確認する。
毒々しい、深緑色の特徴的な液に血が混じり肌とは異質な感じがする。
荒い息を聞きながら、口を寄せて軽く傷周りを噛む。

「う…っあ」

「我慢して下さい」

じ、と血が滲み、伝い出てくる。
舐め取るように舌を傷に這わせると、流石に痛みでワルターが呻く。
しばらくして口内に溜まった血を吐き、また同じように。
思いのほか血が出たそこを数回舐め、毒が残らないよう、注意深く吐き出す。

「っ…き…さま…」

「あれ、起きたんですか」

動けはしないのだろう、身を捩ろうとしているワルターを支えなおして、顔をあわせる。
口の端に血が残っているのを見て黙り込む様子にジェイは微笑む。
ワルターはしかめっ面を直そうともせず、肩の傷とジェイを見比べ、無言で睨み続ける。

「あぁ、ホパフライの毒が傷口から入ってしまったようですね、応急処置です」

「……おま」

何か言いかけたとたん、ガラガラと騒がしい荷台の音がした。
モフモフ族の足音たちとともに。
ワルターは何だという顔で支えから逃れようとするが、ジェイはわざと肩を持って動くなと指示する。
やがて、ジェイにより板に転がされ、そのままモフモフ族の村へと運び込まれることとなった。











2006.1.26
マジでやばいね自分(嬉々

というかいつの間にジェワル?