僕が申し訳無さそうに村に入ると、出迎えてくれたのはみんなの笑顔だった
「すみませんでした」
シャーリィさんとセネルさんが笑いあって互いの顔を見ているときに僕は言った。
二人に向いていた視線も僕に移る。
「まったく、人騒がせな」
「そうじゃのぉ」
彼らが怒るのも、僕に罵声を浴びせるのも、構わない。
してはいけないことをしたら罰せられる。
それがあたりまえだから。
だけどこれだけは
「お願いです、僕に力を!……家族を助ける力を貸してください!」
モフモフ族のみんなを助けたい。
でも僕だけじゃ足りない。
みんなが僕に怒っているのはわかるけど、頼めるのはこの人たちだけだ。
「お願いします!」
くそ、泣くつもりなんてないけど視界が霞んでくる。
みんなの表情もうかがえない。
「みんなーご飯出来たよー」
間延びした緊張感のない声、いつもと変わらないそれに安堵する自分。
橋の方から駆けてきたその人に僕の顔は険しくなる。
ひとつはタイミングの悪さ。
もうひとつは、彼女も自分を責めるのだという怯え。
耐える準備が出来ないうちに前へとやってきてしまった。
「あ、ジェイ!おかえりー」
「は?」
全く誰も予想してなどいないだろう、親しい人が帰還した時に述べる、労りの言葉。
正しい返事が返ってこないのに今度はシャーリィさんに言っている。
「ただいまです」
ちゃんと答えたそっちにはにっこり頷いて、また振り返る。
「ジェイ、遅かったじゃん、ただいまは?」
「え……た、だいま」
ただいまと催促されたのは人生で初めてで、つい補うように言ったけれど。
それでも彼女はうん、と言って手を引っ張ってきた。
「さ、ご飯冷めないうちに食べよ。みんなも!」
「ワーイごはーん!」
「そうじゃのぅ、はよ食いいかんと」
ノーマさんがもう片方の手を振り回してから遠ざかっていく。
モーゼスさんがくしゃくしゃになるまで僕の頭をかき回して走り出す。
「俺の分残しとけよ」
「私も!」
それを追うようにセネルさんが手を置いて頷いて横切る。
クロエさんも同じ場所にそっと触れ、マントを翻す。
「ゴホン、あー俺も腹が空いたな」
「私もペコペコです、行きましょグリューネさん」
「そうねぇ」
残っていたウィルさん、シャーリィさん、グリューネさんも早足で背を向けていく。
「なんだよみんなー置いてきやがってー」
緩い感じの声のまま、手をそのままに文句を言うそのひと。
「なんだよは、こっちです」
「う?」
つい、こんな尖がった言い方になってしまうのは
「タイミング悪すぎですよ」
「ええー?そうなのー?」
僕が意地っ張りで、弱くて
「まったく」
「ごめんー」
あなたってひとに
「あなたってひとは」
「ごめんってー」
助けられてばかりだから
「今度は手、離さないから」
「こっちの台詞ですね」
僕はいま、すごく幸せです
その後会話があるとすれば?
「あんときゃすごかったよねー
『大丈夫だって、ジェイは必ず帰ってくる、信じてる』
ってさ」
「あぁ、迫力あったよな」
「うむ」
「愛じゃな」
「愛ねぇ」
「愛ですね」
「あったり前じゃん!」
「何言ってんですか!?易々肯定しないでくださいよ!!」
2006.2.26
はい突発ー、短いー
文句たらたらなのは承知です、だから
すいません。
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